下地処理の大切さ、また下地処理を行うことによってなぜキレイな外壁塗装にできるのか理由が分かることで、あなたが悪徳業者に騙されず長持ちできる塗装の仕方を学ぶことができます。
下地処理を丁寧に「やっている」か「やっていない」かで、外壁塗装の仕上がりのキレイさと耐久性に雲泥の差がでます。
下地処理とは、外壁塗装をする前に行う塗装面をキレイにする作業。
外壁塗装は塗料を塗ればできると思われがちですが、塗料を塗る前の下地処理を丁寧に行わないとスグに剥がれる塗装になるため、あなたが外壁塗装に失敗しないために私と一緒に詳しく見ていきましょう。
将来に大きな差が出る!下地処理の有無による仕上がりの違い
古い家でも塗装をし直せば、見違えるように真新しくなります。
しかし、見た目がきれいになったと喜んでいると思わぬ落とし穴があるもの…。
よく見落とされしまう大事な部分が、直接目で見えない下地の部分のキレイさであり、下地処理が十分処理できていないと以下のような事が起こります。
- すぐに剥がれる外壁塗装になる
- 耐久性(耐用年数)が低い外壁塗装になる
- 塗装時期が早まるためメンテナンス費用の負担が増える
このように、せっかく塗装しても短期間で塗膜が剥げ落ちてしまい、安くない費用をかけた後で後悔する結果に…。
下地処理で外壁塗装に失敗しない為の、3つのポイントを一緒に見ていきましょう。
ポイント1:塗装の寿命を大きく左右するケレン作業
塗装をする前にまず行わなければならないのは、壁に付着したサビや油汚れ、剥げかけている塗膜などの除去で、この作業をケレン掃除と言います。
地味で非常に手間のかかる作業ですが、これをしっかりと行わないと塗料の接着効果が弱くなり、すぐに剥離してしまいます。
また、ケレン掃除には1~4種類が存在しており、劣化の程度によって1~4種のどれかを使うことになるため、それぞれどのような違いがあるのかを見てみましょう。
建物の外壁に泡のような膨らみが現れるのは何で?塗装後、外壁に泡のような膨らみが現れることがありますが、これは塗装前の清掃が不十分だった証拠です。ケレン掃除をしっかりしなかった事で壁に汚れが残り、塗料の塗装後に凹凸ができてしまっています。
下地処理に必要なケレン掃除の種類
ケレン掃除には1~4種があり、それぞれ状況に応じて使用する種類が違います。
あなたの家の外壁がどのような状態の場合、どのケレンを使えばいいか分かるよう以下の対応表を見てみましょう。
ケレン掃除の種類 | 使用道具 | 使う状況 |
---|---|---|
4種ケレン | サンドペーパー | 特に外壁に問題が見られない場合は、サンドペーパーなどでこすって表面の汚れを落とす程度になります。しかし、キレイに見えるからとしって長年の汚れが付いているので、丁寧に落としていきます。 |
3種ケレン | ワイヤーブラシ ナイロンブラシ | 外壁にサビや浮き上がった塗膜がある場合は、ワイヤーブラシやナイロンブラシを使って落とします。ブラシでこすりすぎると逆に傷がついてしまうこともあるので、丁寧に落としていきます。 |
2種ケレン | サンダー 電気工具 | 4種ケレン、3種ケレンでは落とせないような汚れがある場合、電気工具を使って丁寧に落としていきます。 |
1種ケレン | 剥離剤 化学薬品 | 4種ケレン、3種ケレン、2種ケレンなど、電気工具でさえ落とせないような汚れがある場合、剥離剤などの化学薬品を用いて塗膜をすべて剥がし、下地だけの状態に戻します。 |
これらの作業を外壁の状態に応じて適切に行うことで、塗装の寿命(耐久度・耐用年数)は格段に伸びていきます。
きちんと状況に応じてケレン対応することで、その後の塗装が初めて活きます。
あなた自身でもどの程度の汚れか見た目で分かる部分もあるので、どのような下地処理が行えるのかイメージしておきましょう。
ケレンであまりキレイにしすぎてはダメ?外壁があまりツルツルしすぎても塗料のつきは悪くなるのため、まだ新しい外壁の場合は目荒らしといってわざと表面に細かい傷を入れてザラザラの状態にする場合があります。
ポイント2:塗料の接着力をより高めるための高圧洗浄と脱脂作業
ケレン作業が終われば、次に行うのが高圧洗浄です。
高圧洗浄機から噴き出す水で外壁を洗うという作業で、これによって外壁に付着したホコリや細かな汚れを粉砕除去します。
水掃除といっても家庭のホースで水をかけるのとは異なり、触れた指が切れてしまうほどの高圧力の水を使用しているので、ほとんどの汚れはあっという間に吹き飛んでしまうのです。
この時重要なのは、作業が終わった後に十分外壁を乾かすこと。
下地処理で大事な洗浄後の乾燥をさせなかった場合は?
大事な下地処理である高圧洗浄後の乾燥を十分にしなかった場合はどうなるのでしょうか。
- 乾かない外壁の上から塗装することになりスグ剥がれる
- 塗料の密着度が低くなる
- 長持ちしない外壁塗装になる
このように、作業を急ぐあまり半乾きのまま塗装すると剥離の原因となります。
下地処理で高圧洗浄は不要?下塗りをしっかり行えば高圧洗浄は必要ないという人がいますが、それは、化粧の前に顔を洗わなくても基礎化粧品を多めにつければよいというのと同じで本末転倒です。キレイな面になって初めてキレイな塗装を仕上げることができます。
高圧洗浄の他に脱脂作業も必要?
下地処理の際に高圧洗浄を行うのは当然のものとして、脱脂と呼ばれる塗料を弾いてしまう油分を除去する作業も欠かせません。
アセトンや塗料用シンナーなどを用いて外壁の表面を磨き上げる地道な作業となり、必要に応じて中性洗剤を使用する場合もありますが、その際も高圧洗浄と同じで、しっかり乾かすのが重要なポイントとなります。
ポイント3:下地処理で大事なクラック補修
外壁の汚れをきれいに落としてもそれで終わりというわけではありません。
外壁面をチェックしてクラック(ひび割れ)が見つかれば、塗装をする前に下地補修が必要で、クラックをそのままにすると雨が徐々に内部に侵食し、外壁が腐食していきます。
そして、最終的には外壁がくずれて作り直し(左官工事)が必要となり、通常の塗装工事で済んだものが大規模なリフォーム工事が発生し、費用がかかってしまいます。
それだけならまだよいのですが、腐食が柱まで及んだ場合、家が傾く可能性も…。
下地補修の方法はクラックの程度にもよって異なりますが、どのようなクラックが危険なのか、クラックの危険度をイメージできるように以下の表を見てみましょう。
クラックの種類 | 危険度 | 詳細 |
---|---|---|
ヘアークラック | 低い | 髪の毛のように細くてひび割れが表面上に留まっているものは、まだ危険度の低いものです。モルタル素材の家の場合、年月が過ぎると自然にできるもので、処理としては下塗り材を刷り込んでおくだけで十分です。 |
構造クラック | 高い | ヘアークラックとは違い、奥深くまでヒビ割れがしてしまっているケースです。この場合は、ただ下塗り材刷り込んでおくだけでは補修できないので、シーリング材など穴埋めをする必要があります。 |
その他、実際にクラックを通して水漏れが起きている場合は、外壁をカットして湿っている部分を除去しなければなりません。
その上で、シーリング材を注入して外壁を修復をするのですが、これをUカットシール材充填工法といいます。
水漏れが起こってなくても、再発の恐れがあるようなひび割れはこちらの工法を施した方が安心です。
美しい外観を長期にわたって保持するための下地処理が必要なんです
業者に塗装を依頼した場合、出来上がりの美しさだけを見て満足しがちですが、本当に大切なのは下地処理です。
- ケレン掃除
- 高圧洗浄と脱脂作業
- クラック(ひび割れ)処理
この3つをしっかりやっているかどうかで数年後の外壁の状態に差が出てきます。お金がもったいないからといって下地処理をおろそかにしていると、結局すぐに塗装が駄目になって、短期間で再塗装をする羽目になりかねません。
さらに、クラックをそのままにしていると家の寿命を大きく縮めてしまうこともあり、長い間美しい外観を保持するためにも、また、家自体に不具合を生じさせないためにも外壁塗装の際には、費用はかかっても下地処理をしっかり行うほうが、結果的に安上がりになります。
下地処理は大事、だけど業者選びも大事。
3つのポイントとして、下地処理が大事な理由を一緒に見てきましたが、本当は下地処理を行うだけでなく、行う業者選びもとっても大事なんです。
例えば、下地処理を適当にする業者。この業者に外壁塗装を任せてしまっては、もちろん失敗する外壁塗装になります。