「家を建てるときに、どんなデザインの外壁材がいいか練りに練って選んだのに、塗り替えでそのデザインを塗りつぶしてしまうのはもったいない!」そう思われる方も多いのではないでしょうか。
そんな方には素材のデザインをそのまま残せるクリア塗装がオススメです。
ただ、既にご存知の方は「でもクリア塗装って持ちが悪いんじゃないの?」「全部の家に出来るわけじゃないと聞いたことあるけど、どんな家ならできるの?」「そもそもクリア塗装ってどんなものなの?」と疑問を持たれる方も少なくありません。
クリア塗装は、透明な塗料を塗ることで、元々の素材の意匠性を残したままにできる塗装です。商材によっては20年以上の耐候性があるものもあります。ただ、外装の劣化状況によってはクリア塗装が出来ない場合もあります。
1.デザインをそのまま残したい方にオススメなクリヤー塗装
そもそもクリヤー塗装とは何なのか、メリット・デメリットなどを説明していきたいと思います。
1ー1.クリヤー塗装はそもそもどんな塗装?
クリヤー塗装とは、もともとの素地が透けて見える無色透明な塗料を使った塗装のことです。
着色していないので、外壁の素材の色や木目を生かしながら、保護や艶出し、手触りをよくするなどの目的で使用されます。
簡単に言えば、「現在の色合いを残す塗装」のことです。
一般的な塗装は、顔料を含んでいる色のついた塗料で塗りつぶす仕上がりです。対して、顔料を含まない透明な塗装がクリヤー塗装です。
透明なので下地の色・柄を生かし、現在のデザインを維持したい人にはピッタリの塗料です。
意匠性の高いサイディングを張った家、凹凸のあるサイディングを張った家、塗装が2色で施されているサイディングを張った家では、クリヤー塗装を希望される方がも多くなっております。実際にサイディングメーカーもクリヤー塗装を推奨しており、本来の意匠性を損なわないことをオススメすることが多いです。
1ー2.クリヤー塗装のメリット・デメリット
元々の意匠性を保ったまま塗装を施すことができるクリヤー塗装ですが、メリットはもちろん、デメリットもあります。
メリット
①元のデサイン・意匠性を損なわない
最初にも述べましたが、クリヤー塗装の大きな特徴は「素地のデザインをそのまま生かす塗装ができる」ことです。
元の外壁のデザインを気に入っている方は、通常の塗りつぶし塗装で、その意匠性を損なってしまいたくないと思われることでしょう。
クリヤー塗装ならば、意匠性の高いタイル調やレンガ調の外壁のデザインをそのままに塗装できるので最適です。
②外壁に艶を出せる
クリヤー塗装は意匠性を保ちながら表面を保護するだけでなく、明るく光沢を出すことができます。
また、クリヤー塗料の中には、藻やカビに強いタイプのものもあります。外壁に艶を出しながら、美しさを保つことも可能です。
③チョーキングが発生しない
チョーキングとは、塗膜が劣化し、塗料に含まれている顔料が劣化により浮き出てしまうことで、表面が粉っぽくなった症状のことです。
チョーク粉のように現れることからチョーキングと呼ばれています。
しかし、初めの方でも述べましたが、クリヤー塗料には着色するための顔料が含まれていません。そのため、塗膜が劣化したとしてもチョーキングが起こりにくく、誤って服やカバンなどが触れても色が付いて汚れてしまうことがありません。
デメリット
①素地の状態(汚れ・ヒビ・補修跡)がそのまま見えてしまう
クリヤー塗装はその名の通り透明なため、外壁に問題がある箇所はそのまま見えてしまうことです。
元々の素地の汚れやヒビ、補修跡がある場合、上から塗ってしまえば問題なく光沢も出せますが、見栄えはどうしても悪くなってしまいます。
汚れだけが目立つ場合は高圧洗浄で落とせばいいと思われる方もいらっしゃいますが、中には高圧洗浄でもキレイにならない汚れもありますし、壁に染み付いた雨筋もそのまま出てしまいます。
そのため、実際には新築から7~8年までのキレイな外壁を保っている家でないと難しい塗装でもあります。
1ー3.クリヤー塗装は窯業系サイディングにオススメ
クリヤー塗装がオススメな外壁材は窯業系サイディングです。
窯業系サイディングは現在の住宅建築で主流になっている外壁材で、デザインが豊富で意匠性が高いことも人気のひとつとなっています。
窯業系サイディングを選択される方は、そのデザイン性や意匠性の高さも魅力とされている方も多くいらっしゃいます。
そんな方には特にクリヤー塗装がオススメです。
外壁のデザインをそのまま残して塗装することが可能なので、せっかく気に入って買った家の外壁を塗装で1色に塗りつぶしてしまいたくないという方はクリヤー塗装で外壁のデザインを維持することが出来ます。
性能や耐久性を心配される方もいらっしゃるかと思いますが、現在、クリヤー塗料もシリコンやフッ素、無機といったグレードの高いクリヤー塗料が存在するため、ご要望にあった性能を持つ塗料を選ぶことができます。
打ちっぱなしコンクリート、モルタル、ブロック等に塗装し、透明な仕上がりで保護するクリヤー材もありますので、専用の商材を使用して塗装してもらいましょう。
2.クリヤー塗装が出来るかどうかの判断基準
2-1.クリヤー塗装は状態によって出来るか出来ないか決まる
クリヤー塗装を施したいと考えていても、塗装できない場合もあります。
まずは、外壁の劣化が激しい状態の場合です。
クリヤー塗装を施す外壁部分にチョーキング、ヒビ割れといった劣化がみられると、塗り直しをしても効果を発揮することは出来ません。
既に塗膜の状態が傷んでいる場合は一般的な塗りつぶしをする塗装で保護しましょう。
また、すでにフッ素加工や撥水処理をしている外壁や、光触媒機能、親水性機能が施している外壁には施工不良の原因となってしまう恐れがあるためクリヤー塗装は出来ません。
その他、無機コーティング塗料や無機塗料が塗装されている外壁、表面がコーティングされていない窯業系サイディング材等は施工を控えるように注意記載されている塗料もあります。また、金属系サイディングは錆止め塗装が必要なため、着色されてしまいクリヤー塗装が使用できません。
ただ、劣化のレベルがちょっとしたチョーキング程度であれば、クリヤー塗装も可能な場合があります。
しかし、チョーキングや汚れであれば高圧洗浄で粉等をキレイに流すことが必要です。
2-2.クリヤー塗装が出来ない外壁の劣化事例
では具体的にどのような劣化だとクリヤー塗装が出来ないのか事例をご紹介します。
①チョーキング現象
チョーキング現象とは、外壁の表面にある塗膜が劣化し、手で触ると手に粉のようなものが付いてしまう現象のことを言います。
この現象が起きている外壁にクリヤー塗装をしてしまうと、クリヤー塗装の早期剥離になってしまうことがあるため、オススメできません。
②ヒビ割れ
色をつける塗装であれば、ひび割れを補修した後に塗装を行うことで補修跡を見えなくすることが可能ですが、クリヤー塗装の場合は補修跡がそのまま残って見えてしまうため、見栄えが非常に悪くなります。
③コーキングの上
コーキングとはサイディングボードの住宅でよく見られる、外壁のボードとボードのつなぎ目に入れられているゴムのようなものです。このコーキングの上にクリヤー塗装を行なうと塗膜が汚染されたり、剥離したりする原因となるため、コーキング部分はしっかりと養生して、避けて施工する必要がありますので、事前にメーカーに「クリア塗装後にシーリングの後打ちで良いかどうか」を確認しておくと良いでしょう。