外壁塗装で業者さんから見積もりをとると、いろいろな塗料を提案されますよね?
塗料は種類が多くて、機能や費用もバラバラなので、どれにすればいいのか分からない人も多いと思います。
また、外壁塗装を考えている方は「せっかく塗り替えするなら納得のいく塗料を選定したい」と考えていらっしゃるでしょう。
ですが、塗料が良いからといってお家に最適とは限りませんし、何を重視するかによって「良い塗料」も変わってきます。
つまり、塗料の特徴を理解していないと、上手な外壁塗装は難しいのが現状です。
このページをご覧になっている方は、ラジカル塗料を提案され、どのような特徴があるか知りたい人が多いと思います。
この記事では、そんなラジカル塗料について調べている人に、ラジカル塗料の特徴や他塗料の違いを解説します。
1ラジカル塗料とは
ラジカル塗料の「ラジカル」とは、酸素や紫外線、水などが顔料に接触することで発生する劣化因子をいいます。
つまり、ラジカル塗料とは「ラジカル」の発生を可能な限り抑える効果があり、長期間塗膜の劣化を防ぐ塗料です。
・従来の塗料とラジカル塗料
2015年に日本ペイントで発売された比較的新しい塗料ですが、従来の塗料にはない優れた特徴を持ちます。
従来の塗料はアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素など、塗料の主成分となる樹脂の違いによって分類されました。
これらの主成分の違いが、塗料の特徴や値段・メリット・デメリットに繋がっていました。
しかし「ラジカル」は塗料の主成分となる樹脂の名前ではありません。ラジカル塗料のベースとなるのは、あくまでアクリル樹脂系塗料やシリコン樹脂系塗料などの従来の塗料です。
そのため、従来の塗料に特殊な成分を配合することでラジカル塗料になります。水性と溶剤タイプの1液型があり、塗料メーカーによってはベースとなる樹脂名を公表していないメーカーもあります。
・ラジカル塗料の仕組み
ラジカル塗料にはラジカル抑制のために、高耐候酸化チタンと光安定剤という2つの成分が配合されています。
高耐候酸化チタンは「ラジカルバリア」という能力があり、ラジカルを発生させる成分「酸化チタン」を制御します。また、光安定剤は発生したラジカルの発散を抑える効果があります。
ラジカル塗料はこの2つの成分の働きにより、劣化しにくく耐候性の高い塗膜を形成することが可能です。
2ラジカル塗料の特徴
ラジカル塗料の特徴を、メリット・デメリットに分けて詳しく解説します。
・ラジカル塗料のメリット
安価であるのに高性能
ラジカル塗料は価格が安く、高性能であることが特徴です。コストパフォーマンスが非常に高いのです。
なぜなら、塗料に含まれる樹脂は、一般的な物と変わらないからです。
実は、従来までは新しい機能が加わると、価格が高くなることが一般的でした。
しかし、ラジカル塗料は高性能になっても、基本的に一般的な塗料と変わらないため、価格は大きく変わりません。
ラジカル塗料は安価で、高性能だと押さえておきましょう。
チョーキングが起きにくい
ラジカル塗料は、チョーキングが発生しにくい特徴があります。これは、紫外線や雨風に当たっても、耐久性が高いため、劣化が遅いです。
チョーキングが起きにくいと、ひび割れや水漏れの発生も抑えられますよ。ラジカル塗料は、外壁の劣化にも効果があるのです。
低汚染性に優れている
ラジカル塗料は、汚れが付着しにくいメリットがあります。これは、光沢があるため、汚れが付着しにくく、低汚染性に優れているのです。
そのため、ツヤと色持ちが長持ちしますよ。ツヤ消しも可能ですが、塗膜の寿命を延ばしたい場合はツヤありがオススメです。
作業性が高い
外壁用の水性1液型ラジカル塗料なら、作業性が高いため、手間なく簡単に施工できます。
これは、塗料の伸びが軽く、飛散しにくい特徴があるためです。
なので、金属サイディング・窯業系サイディング・モルタル・ALCパネル・木部・鋼板など、どんな外壁にも塗装が可能ですよ。
手間なく簡単に塗装したい人にオススメです。
・ラジカル塗料のデメリット
実績が少ない
ラジカル塗料は、積極的に取り扱っている業者が少ないデメリットがあります。これは、発売から数年しか経っていないため、知名度が低いからです。
そのため、ラジカル塗料を使ってほしくても断れてしまう場合があります。しかし、性能は良いため、今後取り扱う業者が増えていくかもしれません。
3汎用型シリコン塗料との違い
それでは、現在もっとも普及している汎用型シリコン塗料と違いはあるのでしょうか?
結論としては、ラジカル塗料の方が優れています。こちらの方が、安価でありながら、性能が高いからです。
2つの塗料を比較してみると、以下のようになります。
- アクリル樹脂ベースのラジカル塗料は安価で、1液型シリコン塗料以上の性能を持つ。
- シリコン樹脂ベースのラジカル塗料と2液型シリコン塗料の性能は、ほぼ変わらない。
- シリコン樹脂ベースのラジカル塗料は、耐候年数が14年~16年なので、シリコン塗料(10年~13年)より高い。
- 高ランクのシリコン樹脂塗料と似た価格帯なので、ラジカル塗料の方がコストパフォーマンスが良い。
このように、シリコン塗料よりラジカル塗料の方が、価格・性能の面で優れていることが分かります。もし、予算に余裕があるなら、ラジカル塗料がオススメです。
4代表的なラジカル塗料
代表的なラジカル塗料を3つ、ご紹介します。
パーフェクトトップ(日本ペイント)
パーフェクトトップはラジカル塗料の中では、もっとも有名な塗料です。なぜなら、最初に誕生したラジカル塗料が「パーフェクトトップ」だからです。
この塗料の正式名称は「1液水性ラジカルハイブリット高耐候性塗料」といい、1液型の水性塗料にも関わらずシリコン系を超える耐久性があります。
また、ポリマーハイブリッド効果によって塗りやすく、光沢性を高め、親水化技術により雨垂れの汚れを防ぎます。
ベースはアクリル系塗料で、種類はツヤ消し・3分ツヤ・5分ツヤ、ツヤありの4種類です。
オーソドックスな塗料を使いたい人は、パーフェクトトップがオススメですよ。
エスケープレミアムシリコン(エスケー化研)
エスケープレミアムシリコンは、国内No.1シェアを誇るエスケー化研より発売されているラジカル塗料です。
この塗料は、3つの効果でラジカルの発生を抑制します。
具体的には、高緻密無機シールド層と高緻密有機シールド層でラジカルの発生を抑え、発生したラジカルはハイブリットシリコン樹脂で抑えこみ、劣化の進行を防ぐのです。
また、パーフェクトトップとの違いは「シリコン樹脂」が含まれている点です。
そのため、従来の水性シリコン樹脂塗料と比較して耐候性が優れています。
他にも、カビや微生物汚染を防ぎ、汚れが付着しにくいです。
ベースはシリコン系で、種類はツヤあり、5分ツヤ、3分ツヤの3種類で、ツヤ消しはありません。
ラジカルの発生をしっかりと抑制させたい人にオススメです。
アレスダイナミックTOP(関西ペイント)
アレスダイナミックTOPは、高湿度な環境でも塗装できます。
これは、下・中塗材「アレスダイナミックフィラー」と「ダイナミック強化剤」を組み合わせることで、高い付着力を発揮するからです。
そのため、少し雨が降っている環境でも安心して塗装できますよ。
他にも、酸化チタンへ紫外線の到達を阻止し、ラジカルの発生と活動を抑えることで、塗料の耐久性を向上します。
ベースはシリコン系で、フッ素に近い高耐候性を持ち、外壁を長期間保護することが可能です。
雨が降っていても塗装したい人にオススメの塗料です。
5まとめ
最後に、ラジカル塗料についてまとめます。
- ラジカル塗料は、塗膜の劣化を進行させる「ラジカル」の影響が受けにくい塗料。
- 安価で、シリコン樹脂塗料以上の耐候性がある。
- アクリル樹脂塗料やシリコン樹脂塗料と同様に扱え、ほとんどの外壁に塗装できる。
- チョーキングが起きにくく、光沢があるので低汚染性に優れている。
- ほとんどが水性で一液型なので、作業性が良く、安全。
以上のようにラジカル塗料は、大きなデメリットのない優れた塗料です。
ただし塗装業者によって、施工実績が少なく、積極的に採用しない業者もいます。
そのためラジカル塗料を採用する場合は、実績があり、自信を持って「ラジカル塗料」をオススメする業者に依頼しましょう。