あなたのお家のベランダやバルコニーは、家族の洗濯物を干したり、お家にいながら外の空気を吸うことが出来るスペースですよね。
しかし、ベランダやバルコニーは、定期的なメンテナンスを行わなければ、雨漏りが起きる可能性があり、実はお家で起きる雨漏りトラブルの中でも、とくに発生しやすい場所なんです。
そうは言っても、ベランダやバルコニーのメンテナンスを考える機会は、なかなか訪れないもの。
お家に必要なメンテナンスは、外壁塗装や屋根塗装などもありますが、これらと同じくベランダやバルコニーも、安心できる暮らしの為のお手入れが必要になります。
1 ベランダ・バルコニーに起きる劣化と補修方法
あなたのお家のベランダやバルコニーは、築10年以上経っている場合、ひび割れや剥がれが発生しているかもしれません。
しかし、「とくに困ったことは起きてないし…。」と思って、そのままにしていると、ベランダの雨漏りに繋がる恐れがあるんです。
戸建て・アパート・マンションにお住まいの方からよく寄せられるご相談の一つにも、ベランダやバルコニーからの雨漏り相談があります。
放置し続けると、大規模な工事が必要になる場合もあるため、あなたのお家のベランダやバルコニーに起きている状況を確認しつつ、どんな対処方法があるのか一緒に見ていきましょう。
ひび割れ
防水塗装は、お家を建ててから10年以上経つと、自然に劣化症状が表れるようになり、その一つがひび割れです。
ベランダやバルコニーの防水塗装は、防水層という層によって、下地へ水分が行きわたらないようにしてありますが、防水層を保護するための「トップコート」という塗装にひびが入ってしまうと、隙間から雨水が侵入して、ベランダの下から雨漏りしてしまうんです。
トップコートのみひび割れが起きている場合は、新しくトップコートを塗り直すことで、補修ができますが、ベランダやバルコニーが全体的に劣化していれば、防水層から補修をする必要があります。
塗装の剥がれ
ベランダやバルコニーの塗装が剥がれてきているのは、防水層の一番表面となるトップコートが劣化して、機能を失ってしまっているという事。
塗装が剥がれると、防水層の内部がむき出しになり、雨水が浸透しやすくなってしまうため、早めに工事をしなければ、雨漏りに繋がる可能性が高いです。
トップコートのみ剥がれていて、全体的な傷みが少ない場合は、トップコートを再度塗り直すことで補修できますが、全体の劣化具合を業者さんにきちんと見てもらうようにしましょう。
水たまり
ベランダやバルコニーに出来る水たまりは、勾配(こうばい)と呼ばれる傾斜が適切な状態になっていないという事。
一見するとベランダやバルコニーの床は水平に見えますが、排水口に水が流れるよう、少し勾配が付けられています。
しかし、元々ベランダやバルコニーに施工不良があった可能性もあり、過去に防水塗装を行なっているのであれば、防水塗装をした業者が、適切な勾配を付けずに工事をしてしまった事も考えられるんです。
適切な勾配になっていない場合は、トップコートの再塗装だけで対処できないことがあり、トップコートの下に作られている防水層や下地から、工事を行う必要が出てくる可能性も。
また、排水溝の詰まりが原因で、水が流れず溜まってしまっている場合もあるため、原因を突き止めて対処すれば、防水塗装をする必要がない場合もあります。
ベランダ・バルコニー・テラスの違いは?
名称 | 場所 | 特徴 |
ベランダ | 2階以上 | 屋根や軒、庇(ひさし)がある |
---|---|---|
バルコニー | 2階以上 | 屋根などが付いていない |
テラス | 1階 | 掃き出し窓から外へ続く |
ベランダには、上部に屋根や軒、庇(ひさし)といった、雨・日光などを防ぐものが付いていますが、ベランダに似ているバルコニーには、これらが付いていない事がほとんどです。
テラスは1階の掃き出し窓から外に続くスペースを指すことが多く、屋根の有無は様々ですが、2階以上にある場合も、広さがあればテラスと呼ばれることもあります。※ 掃き出し窓…縦長で、床まで長さがある窓のこと。
2 そもそも防水塗装ってなに?
もしかするとご存知かもしれませんが、お家を守るためのメンテナンスには、ベランダやバルコニーの防水塗装以外にも、外壁塗装や屋根塗装があり、どちらもお家の中へ雨水が侵入しないようにするための、大切な工事です。
しかし、外壁塗装や屋根塗装と、防水塗装とでは、少し工事内容が変わります。
防水塗装とは一体どんな工事なのか、一緒に確認していきましょう。
防水塗装と屋根・外壁塗装の違い
お家の外壁は地面に対して垂直にあるため、雨水が当たってもそのまま地面へ流れ落ち、屋根も傾斜が付けられているため、雨を受けてもすぐに雨樋(あまどい)へ落ちて、地面へ雨水が流れていくもの。
対してベランダやバルコニーは、洗濯物を干したり、ちょっとしたガーデニングや家庭菜園など、私たちが問題なく立っていられるくらい、床が平坦ですよね。
雨が降った時に雨水が溜まらないよう、排水口に向けて少し傾斜が掛けられているため、正確には平坦ではありませんが、屋根や外壁のように、すぐに地上へ流れ落ちにくい造りとなっています。
そのため、外壁や屋根と同じ塗料では、ベランダやバルコニーでの防水機能を果たすことが出来ず、塗装の上を歩いたりするため、防水専用の塗装をしなければ、すぐに傷んでしまうんです。
防水塗装中の室外機はどうするの?
ベランダやバルコニーには、エアコンの室外機が設置されていることが多いので、「室外機があるのにどうやって塗装するの?」と思いますよね。
塗装業者さんによって対応方法は変わりますが、少し浮かせた状態の室外機を、ベランダの手すりなどにロープで固定しておくことが多いです。
ほかにも、細い鉄の棒で出来た台座に乗せておく方法があり、台座の足が細く、床に触れる面積が最小限で済むため、全体の防水塗装が終わったあと、設置部分の補修がしやすくなります。
3 ベランダ・バルコニー防水の施工方法
ベランダやバルコニーには防水塗装がされており、定期的なメンテナンスが必要になりますが、防水塗装の工法には種類があります。
工事に掛かる値段も気になると思うので、それぞれの工法を確認していきましょう。
防水塗装の工法を確認しよう
防水塗装には施工方法がいくつかあり、一般的に下記の4種類が使われます。
- ウレタン防水
- FRP防水
- シート防水
- アスファルト防水
この中でも、シート防水やアスファルト防水は、屋上などの大規模な場所に向いている工法なので、ベランダやバルコニーでは不向きな防水方法です。
ウレタン防水・FRP防水のどちらかを、ベランダやバルコニーに行うことが多いです。
2つの工法にはどんな特徴があるのか、確認していきましょう。
ウレタン防水
ウレタン防水は、専用のウレタン防水塗料を2回塗り重ねて、しっかりと防水の膜を作る工法。
仕上げにトップコートと呼ばれる塗料で保護することで、紫外線にも強くなり、5年を目安にしたメンテナンスであれば、トップコート再塗装のみで済むことが多いです。
下地に通気マットを敷く通気緩衝工法(絶縁工法)と、直接ウレタン防水塗料を塗っていく密着工法があるため、お家の環境に合った工法で工事をしてくれる業者選びが大切になってきます。
FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維を含むシートで防水層をつくり、最後に樹脂塗料でコーティングする工法です。
ウレタン防水に比べて材料や手間が多く掛かるため、金額も少し高くなることがありますが、あなたのお家のベランダ・バルコニーに合った工法で工事をしてもらうことで、防水機能も長持ちしてくれます。
ウレタン防水と同じように、5年ごとの点検やメンテナンスをしておくと、最低限のお手入れで防水効果を維持していくことができるため、お家のベランダ・バルコニーに劣化を見つけたら、早めの対処がオススメです。