♦︎木部塗装の方法とは?
木材が外装に使われている箇所は、外壁本体などと比べても非常に傷みやすいといえます。
木材は天然素材のため、塗装などで保護しなくては雨や細菌の影響で、すぐに腐ったりカビが生えたりしてしまうのです。
さらに、木材を保護するために施している塗装も、通常の外壁に比べ劣化しやすくなります。
そのため木材でできている部分は、外壁塗装以上にメンテナンスには気を使う必要があるでしょう。
ここでは、外壁塗装より気をつけたい一軒家の外装の木部塗装について、詳しく紹介していこうと思います。
1 木材塗装の特徴
木部塗装に通常の外壁塗装よりも注意しなければならない理由は、木材特有の特徴があるからです。
木材の特徴を理解していれば、塗装の際に注意すべきことやメンテナンスの必要性も理解できると思います。
そこでまずは、木材の特徴を詳しく紹介していきたいと思います。
湿度によって膨張、収縮を繰り返す
木材は、調湿作用を持っています。
これは、湿度が高いと湿気を吸い込み、湿度が下がると湿気を吐き出す作用のことです。
この作用があるからこそ、水分過多による腐食や乾燥によるひび割れをある程度防ぐことができます。
ただし、湿気を吸い込んだり吐き出したりするわけですから、それに伴い木材自身も膨張と収縮を繰り返します。
そのため、塗装がどうしても剥がれたりひび割れたりしやすくなるのです。
腐食に弱い
木材は天然素材なので、バクテリアや細菌の影響で腐食していきます。
もちろん腐食防止の対策は施されていますが、それでもセメントやモルタルのような人工物と比べると、腐食に対して弱い材料と言えるのです。
さらに、腐食防止の塗料や薬剤も、時間の経過と共にどんどん効果が薄れてきます。
だからこそ、定期的に塗装を塗り替え、しっかりとガードしてあげることが木材では非常に重要なことなのです。
適切なメンテナンスを実施していれば、長期に渡り腐食を防ぐことは難しくありません。
木目を活かした外観が作れる
天然素材である木材の最大の魅力は、それぞれ表情が異なる木目でしょう。
最近では家の外観にもこだわりを持つ方が増えてきているので、個性的な家を作る上でも木材は活躍しています。
それから、木材の持つぬくもりのある質感は、日本人の心を癒す効果があります。
自宅はあなたが休むところですから、癒しの雰囲気を作るには木材が最適というわけです。
2 一軒家の外装で木材が使われている箇所
住宅で木材が使われているのは、内部の骨格だけではありません。
ウッドデッキやドア、瓦屋根の木部など、外から見える部分にも意外とたくさん木材は使用されています。
一軒家の場合なら、木材がどこにも露出していないというケースは珍しいと言えるでしょう。
そのため、ほぼ全てのお宅で定期的な木部のメンテナンスが必要となります。
それから、ぬくもりのある家というイメージを形にするため、外壁材そのものに木材を使用しているケースもあります。
このような外壁は、サイディングのような建材に比べかなり劣化が激しいので注意しなくてはいけません。
サイディングのような外壁と比べると塗装の持ちも悪く、短いスパンで塗り替えを実施する必要があります。
3 木部塗装で注意すべきポイント
木材は、人工の建材と比べ独特の特徴を持つため、同じように塗装したのでは不具合が生じてしまいます。
木部には、塗装する上で特有の注意点があるのです。
この注意点を知っていなければ、塗装を実施しても失敗するおそれがあります。
木部塗装を実施する前に、まずは特有の注意点をチェックしておいてください。
以下のポイントを押さえておけば、木部塗装で失敗する心配はなくなります。
ひび割れへの対策が必要
木材は膨張と収縮を繰り返すため、塗装にひび割れが入りやすいという弱点があります。
これこそ、木部塗装が長持ちしない最大の原因なのです。
ただ、木材に調湿作用がある限り、膨張と収縮を抑えることはできません。
そのため、ひび割れに強い塗料を選択することが不可欠となります。
それでも通常のサイディングと比べれば、ひび割れや剥がれを防ぐことは難しいと言えます。
しかし、塗装がひび割れたり剥がれたりしてしまえば、木材が雨水や紫外線の影響を直接受けることになるでしょう。
こうなると木材はすぐに腐食してしまうので、劣化に合わせた素早いメンテナンスが重要になるのです。
下地処理が最も重要
木部への塗装には、サイディングなどへの塗装と比べ非常にはがれやすいという弱点があります。
そのため、しっかりと塗料を密着させるための下地処理が、サイディングなどに比べると非常に重要になってきます。
それから、外壁材に木材を採用しているケースでは、木目を活かすためにクリア塗装を施していることも多いです。
このクリア塗料は、塗り替えの際はきちんと落として塗装を行わないと、塗装の密着性が悪くなるおそれがあります。
塗りムラの原因ともなりますので、しっかりと古いクリア塗料を落とす下地処理が、木材部分ではとても重要なのです。
さらに、古い塗膜を落とした後のケレン処理にも気を抜くことができません。
木部も表面に凹凸がある状態では塗料の密着が悪いので、ケレン処理が不十分だとすぐに塗装が剥がれる原因となってしまいます。
日光の当たり具合で劣化の程度が異なる
木材の部分は特に、日光の当たり具合により劣化の進行が大きく異なります。
紫外線の影響が大きな南側や西側は、影響がそこまで大きくない北側に比べてより早く劣化していきます。
そのため、劣化の激しい南側や西側に面している木部には、より強度が高くなるよう塗装を施す必要があります。
木材は天然素材のため、塗装によるガードがなくなるとかなりのスピードで腐食が進みます。
そのため、塗装の劣化にはいち早く対応しなくてはならないのです。
つまり、メンテナンスの周期がそれなりに早いということになります。
日の当たり具合による塗装の劣化の差まで計算できて塗装していれば、一度に全ての箇所がメンテナンスできます。
メンテナンス回数を減らすことができれば、それだけコストの削減にもつながるので、施行技術の高い塗装業者に依頼することが木部塗装でも大切ということです。
業者が変わると塗装方法が異なる
木部塗装を業者に依頼すると、ひび割れに強いウレタン塗料を提案されることもあれば、耐久性の高いシリコン塗料を提案されることもあります。
これは、どちらかが間違っているというわけではなく、お客様のことを考えて提案が異なっているケースがあります。
木材はひび割れが発生しやすいので、伸縮性が高くひび割れに強いウレタン塗料を提案することは理にかなっています。
ただ、ウレタン塗料はシリコン塗料に比べ耐久性が低いので、塗り替えの頻度が増えてしまうのです。
一方、シリコン塗料の場合、耐久性が高いので足場などの諸経費を節約できます。
その代わり、シリコン塗料は塗膜が硬いため、途中でひび割れてしまう危険が高まるのです。
このように、業者によって考え方やノウハウ異なるケースが多いので、ある程度の知識を備えご自身で判断する必要があると言えるでしょう。
4 木材部分も3回塗りが基本
外壁塗装は3回塗りが基本とされていますが、木部塗装にも同じことがいえます。
基本的には、3回塗り重ねて強度を出していくことが不可欠です。
ただし、紫外線の影響が大きい南面の塗装では、3回塗りでも強度が不足するケースも考えられます。
このようなケースでは、4回以上の重ね塗りを行うことで、十分な塗装強度を確保しなければなりません。
また、日当たりがあまり良くない立地の場合なら、北面の塗装が思ったよりも長持ちするケースも考えられます。
このようなケースの場合は、北面の塗装回数を減らすという処置も検討しなければなりません。
最も理想的と言えるのは、異なる日当たりでも塗装が同じ状態をキープしている状態です。
これを実現するには、日当たりまで計算して最適な塗装回数を導き出した上で、施行することが不可欠なのです。
そうすることで、全ての外装に使われている木材を一度にメンテナンスできるようになります。
さらに、木材本体の劣化具合により最適な塗装回数が異なります。
木材が激しく劣化していると、健在が塗料を吸収する量が増え、塗装回数を増やす対応が求められるのです。
木部の状態を見極めて、最適な塗装回数を導き出す経験と技術力が、木部塗装ではより重要となります。