外壁塗装について調べていて「付帯部」という言葉を聞いたことのある方も多いかもしれません。
付帯部には雨戸や雨樋といったメジャーなものから、破風板や鼻隠しなど、普段は聞きなれないものもありますが、いずれも建物を守るために取り付けられているものばかりです。
1 付帯部の種類
外壁や屋根にはたくさんのパーツが付いています。
それらをまとめて「付帯部(ふたいぶ)」と呼びます。
雨樋や雨戸などの付帯部はほとんどの方が知っているでしょう。
毎日目にする玄関ドアや窓サッシなども、外壁塗装においては付帯部に分類されます。
そのほか、破風板や鼻隠し、笠木なども外壁塗装ではよく付帯部塗装が行われる箇所です。
それぞれのパーツがどこにあるのか、なぜ設置されているのか理由を知っておくと、付帯部塗装の重要性も理解できるようになるでしょう。
・軒天(のきてん)・・・外壁から突き出した屋根の裏側を指す。
・破風板(はふいた)・・・屋根の妻側に設置されている板のこと。
・鼻隠し(はなかくし)・・・屋根の桁側に設置されている板のこと。
雨樋が取り付けられている。
・霧よけ・・・庇のこと。窓の上に取り付けられている。
・雨樋(あまどい)・・・屋根の桁側に設置されている排水設備。
・笠木(かさぎ)・・・ベランダ、バルコニーの手すり部分天面に設置
されている板のこと。
・水切り・・・基礎と外壁の境界に設置されている板のこと。
・換気フード・・・換気ダクトの排出口上部をカバーする部材。
・雨戸・・・窓サッシに取り付けられている保護用の戸。
・戸袋・・・使わない時に戸を収納しておく部分。
・シャッター・・・上下に昇降する保護用の戸。
・玄関ドア・・・玄関に設置された戸。
・ベランダ、バルコニー・・・2階以上に設置されている屋外スペースのこと。
屋根があるものをバルコニー、
ないものをベランダと呼ぶ。
・窓枠・・・窓ガラスがはめ込まれている枠のこと。
・手すり・・・屋外階段やベランダ、玄関アプローチなどに設置されている。
・フェンス・・・敷地の境界部分に設置される。
・化粧胴差・・・1階と2階の境界部分に設置される化粧板のこと。
2 付帯部はなぜ塗装が必要なのか
付帯部塗装が重要と言われる理由は、付帯部の多くが建物の防水性を司っているからに他なりません。
壁や屋根だけしっかり塗装しても、付帯部の劣化を見過ごすと建物の防水性は上がりませんし、塗装後の美観も損ねてしまいます。
1.付帯部塗装で建物の劣化を防ぐ
例えば雨樋の破損を放置すると、屋根からの雨が外壁に直撃してしまい、外壁の塗膜の劣化が早くなってしまいます。
さらに、雨が一箇所にまとめて排水されなくなり、敷地の周りや隣家に飛び散ってしまうこともあるでしょう。
また、破風板や鼻隠しといった屋根の周囲に貼られている板が腐食すると、屋根の内部に雨水が入り込むようになり、雨漏りに繋がってしまいます。
そのほか、一見重要性が低そうに見える軒天は、雨水が当たらないからと放置しやすい箇所です。
しかし台風や強風を伴う大雨でいつのまにか腐食していることもあり、放置すると外壁への漏水を招いてしまうでしょう。
このように、付帯部の多くは建物の防水性を維持しているのです。
●鉄部の腐食を防いで安全性を高めることも重要
付帯部塗装で忘れてはならないのが、鉄部の補修です。
付帯部の中には金属製のものがあります。
鉄部は、普段は塗装で表面が保護されていますが、塗膜の劣化や傷でサビが生じることがあります。
錆びは進行を放置すると腐食して部材自体に穴が空く恐れがあり、部材の耐久性を著しく落とします。
防水性が損なわれることはもちろん、手すりや鉄骨階段など重量がかかる部分では重大な事故を招く恐れがあるため必ず補修しておかなければなりません。
鉄部の補修では「ケレン作業」と「防錆塗装」が行われます。
ケレン作業とは、工具を使って錆びを落とす作業のことです。
錆びのレベルによって4段階が使い分けられ、戸建て住宅で行われるのは3種ケレンと4種ケレンのどちらかです。
3種ケレンではサンドペーパーで磨くなどして手作業で錆びを落とします。
4種ケレンはハケなどで簡単に清掃をするのみですので、費用もあまりかかりません。
まれに戸建て住宅でも2種ケレンが行われることがありますが、2種になると電動工具で錆びを削り落とす作業になり費用もかかります。
このように鉄部のケレン作業は錆びが進行するほど大規模になり費用も高くなりますので、早めに付帯部の状態を確認して補修に着手することが大切です。
2.付帯部もセットで塗装すると仕上がりの品質が向上する
外壁や屋根が塗り替えられてピカピカになっても、付帯部が古いままだとそこだけ目立ってしまいます。
特に、雨戸や窓サッシ、雨樋は目立つ箇所に設置されていますので、これらの塗装を省くと非常に目立ってしまうでしょう。
満足な仕上がりにするためには、付帯部も忘れずにしておくことが肝心です。
●付帯部も含めてカラーコーディネートしよう
既存の色と大きく異なる色で塗り替えると、それまで外観に馴染んでいた付帯部が急に目立つようになる恐れがあります。
塗り替え後の仕上がりをイメージするときは、付帯部も含めて考えなくてはなりません。
例えば、同じ白い窓サッシでも、ベージュの外壁にあるときとネイビーの外壁にあるときでは印象が全く異なります。
ベージュのような淡い色の中では目立たなかった白い窓サッシも、ネイビーのような濃い色の中にあるとコントラストが発生してはっきり目立つようになるからです。
付帯部塗装に使う塗料の色を提案されたときは、付帯部だからと安易に決めてしまわずじっくりシミュレーションしましょう。