屋根に起きる劣化や塗装時期を、素材ごとに知っておくと、あなたのお家の屋根にどんな劣化が起きているのか、いつ頃塗装すべきなのかが分かります。
あなたがお家の屋根を見る機会はあまりと思うので、屋根の汚れや傷み具合は、なかなか確認できません。
しかし、屋根には塗装工事のメンテナンスが必要になる場合が多く、適正な時期に工事をしないと、傷みが酷くなって屋根材の破損や雨漏りに繋がることがあります。
1 まずは9種類の屋根材を確認しよう
お家に使われる屋根にはいくつか種類がありますが、お家にどんな屋根材が使われているか、分からない場合が多いのではないでしょうか。
「家を買う時に説明されたけど、屋根の種類までは覚えてないな」
このようなこともあると思うので、あなたのお家の屋根がどんな特徴なのか思い出しながら、屋根材の種類を一緒に確認しましょう。
・天然スレート
天然スレートの屋根材は、頁岩(けつがん)や、粘板岩(ねんばんがん)を使用して作られます。
ヨーロッパの建築材料として使われる素材です。
屋根材としてのメリットは、天然の素材を使用しているためナチュラルで高級感ある見た目になることです。
また、自然の風合いを活かすものなので、塗装のメンテナンスをする必要がありません。
割れない限り使い続けられ、再利用も可能です。
デメリットとしては、石なので割れやすく、加工に労力を使うため、費用が高額になるという点です。
・化粧スレート
化粧スレートは、天然スレートとは違い、セメントに繊維素材を混ぜて作られる板状の屋根材のことを指します。
以前は石綿(アスベスト)が使われていましたが、現在は健康被害があるということで、使用が禁止され、製造されていません。
天然素材ではないので、比較的安価で施工しやすく、耐震性に優れています。現在、多くのお家の屋根材として使用されている素材です。
デメリットとしては、塗装が必要で、定期的なメンテナンスをしなければならないこと、塗装が剥げて防水性が失われるとそこからひび割れが起きてしまうことなどです。
・粘土瓦
粘土瓦はその名の通り、粘土でできた瓦のことを指し、種類には釉薬瓦と無釉瓦の2つがあります。
天然スレートと同じく天然素材でできているので、耐久性に優れ、防音性や断熱性も高いと言われています。
また、塗装の必要がないのが特徴です。
一方で、屋根材としては価格が高く、素材自体が重たいので耐震性が低いとされています。
・セメント瓦
セメントを素材にして作られるセメント瓦は、価格が安く、形の種類が多かいことから、以前はよく使われていた屋根材でした。
最近では、より低価格で耐久性が強い屋根材が出てきたことで、使われる機会が減ったと言われています。
メリットは、断熱性や防音性が高いこと、粘土瓦よりも安価なことです。
・ガルバリウム鉄板
アルミニウムと亜鉛などでメッキ加工された屋根材です。
金属製ですがサビにくく、防水性や耐震性に優れ、複雑な形状の屋根にも対応できると言われています。
デメリットとしては、金属製なので断熱性が低いこと、防音性に劣ること、アルカリ性に弱く枯れ葉や木屑が長くのっているとサビてしまうことが挙げられます。
よって、塗装を兼ねた定期的なメンテナンスが必要です。
・トタン
薄い鉄板を亜鉛でメッキ加工した屋根材です。
安価で耐震性に優れ、軽いので建物への影響が少ないなどのメリットがあります。
ただし、断熱性や防音性が乏しいと言われ、他の素材に比べて耐用年数が短いとされています。
サビやすいので、塗装やメンテナンスが必要になるという手間も考慮しなければなりません。
・ステンレス
ステンレスの屋根は、鉄を主成分としたクロムやニッケルが含まれたステンレス鋼板を使って作ります。
お家の中の水回りにも使われる素材なのでお分かりいただけるかと思いますが、サビにくいため、屋根の素材としても大活躍してくれます。
メンテナンスもほぼしなくていいので、コストパフォーマンスの良さも魅力です。
デメリットは、価格が高く、取り扱いが難しいため、加工技術が必要になり、あまり普及していないことです。
・鋼板
お寺や神社などの屋根に使われる屋根材です。
銅製の板を屋根に貼り付けるもので、屋根材の中で最も長い耐用年数を誇り、100年を超える場合があります。
よって、メンテナンスする必要がありません。
しかし、一般のお家への需要が低いため、施工できる職人さんや業者が少なく、価格が高いのがデメリットです。
・アスファルトシングル
ガラス繊維基材にアスファルトを染み込ませて、表面に石粒を吹き付けて作られるシート状の屋根材です。
シート状なので軽く、施工しやすいという特徴があります。
また、カラーやデザインも豊富なので、デザインにこだわりがあるお家にぴったりの素材です。
デメリットは、強風に弱く、吹きつけた石がポロポロと落ちてくる可能性があることです。
これは劣化のサインでもあるので、定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
見た目の印象にも、影響を及ぼします。
2 屋根の素材ごとに違う劣化症状
お家の屋根の劣化は、屋根材の種類によってあらわれ方が変わります。
しかし、屋根の状態をじっくり見ることは難しいので、あなたのお家の屋根材に起こりうる劣化症状にはどんなものがあるのか、一緒に確認してもらえると嬉しいです。
スレート屋根に起きる劣化症状
劣化する部分 | 劣化症状 |
---|---|
塗装部分 | ・色あせ ・ひび割れ ・剥がれ ・チョーキング(触ると手に粉が付く) ・コケやカビ(オレンジ色・白色) |
屋根材そのもの | ・ひび割れ ・ズレ ・破損 ・ゆがみ(反り) |
板金部分 | ・色あせ ・チョーキング ・サビ ・釘の浮き ・板金の浮き |
瓦屋根に起きる劣化症状
劣化する部分 | 劣化症状 |
---|---|
塗装部分 | ・色あせ ・剥がれ ・チョーキング ・コケやカビ(オレンジ色・緑色) |
屋根材そのもの | ・ひび割れ ・ズレ ・破損 |
漆喰部分 | ・変色 ・ひび割れ ・崩れ |
金属屋根に起きる劣化症状
劣化する部分 | 劣化症状 |
---|---|
塗装部分 | ・色あせ ・剥がれ ・サビによる変色 |
屋根材そのもの | ・サビ ・サビによる穴 ・浮き ・剥がれ ・ゆがみ |
アスファルトシングルに起きる劣化症状
劣化する部分 | 劣化症状 |
---|---|
塗装部分 | ・変色 ・チョーキング ・膨れ |
屋根材そのもの | ・凍結 ・剥がれ ・浮き ・飛散 ・下地の露出 |
3 屋根材ごとの耐用年数と塗装時期
屋根にメンテナンスが必要といっても、お家を建ててからどのくらいの時期に行うべきなのか、よく分からないと思います。
とくに雨漏りが起きていない屋根の下から分かる範囲では、ちょっと汚れているくらいというように、 現状で困っていない場合は、なおさら屋根の塗装をいつすべきなのか、悩んでしまうはずです。
屋根材ごとに、耐用年数の大まかな目安を表にしてみたので、確認してみましょう。
ちなみに、塗装時期はいずれも10〜15年程度です。
天然スレート、粘土瓦、銅板にかぎり、塗装は不要です。
屋根材 | 耐用年数の周期目安 | |
---|---|---|
スレート屋根 | 天然スレート | 20年以上 |
化粧スレート | 15~20年 | |
瓦屋根 | 粘土瓦 | 30~60年 |
セメント瓦 | 30年 | |
金属屋根 | トタン | 10~20年 |
ガルバリウム | 25~35年 | |
ステンレス | 50年 | |
アスファルトシングル | 10〜30年 |
もしかすると、表でご紹介した耐用年数よりも長い期間、メンテナンスなしでトラブルが起きていないお家があるかもしれません。
しかし、今何も起きていないからと言って、メンテナンスする必要がないわけではありません。
逆に、屋根材の破損や雨漏りなどが、いつ起きてもおかしくない状態の可能性が高いので、塗装業者さんへ早めにお家の点検をしてもらいましょう。
そもそも屋根の塗装は、破損やサビ、雨漏りといった大きな劣化が起きる前の、症状が軽い時に行うべきメンテナンスで、傷みが酷くなってから行うよりも、費用を抑えてお手入れすることができます。
あなたのお家に掛けるお金を最小限に抑えるためにも、屋根の点検や塗装工事を検討してみてください。