外壁デザインを維持したまま塗装を行いたい方におすすめの「クリア塗装」。(クリヤー塗装と呼ばれることもあります)。
クリア塗装は色つきの塗料を使った塗装とは異なり、外壁の色や柄を保ちつつ塗装を行えます。
しかし、クリア塗装は全ての外壁材に向いているわけではありません。どのような外壁にクリア塗装が適しているのかを把握するために、クリア塗装の種類やメリット・デメリットをチェックしてみましょう。
1.クリア塗装とは?
「クリア塗装」は無色透明なクリア塗料(仕上げ剤)を使用して、塗装するという意味の用語です。
クリア塗装に使用されるクリア塗料にはどんな種類があるのか見てみましょう。
1-1.クリア塗装に使用される塗料の種類
クリア塗装に使用するクリア塗料は、一般の塗料と同じようにアクリル系・ウレタン系・シリコン系・フッ素系が主で、それぞれ耐用年数が長いほど価格が高い傾向にあります。
種類 | 耐用年数目安 | |
アクリルクリア塗料 | 約5~8年 | |
ウレタンクリア塗料 | 約8~10年 | |
シリコンクリア塗料 | 約10~12年 | |
フッ素クリア塗料 | 約12~15年 |
他にも、「無機クリア」と呼ばれる耐候性の高い塗料や、紫外線による劣化を防ぐUVプロテクト機能を持ったクリア塗料もあります。
また、塗料は価格が安く扱いやすい「水溶性」と、手間はかかるものの耐久性が高い「油性」の2種類に分けられます。
外壁を守るには適切な塗料を選ぶことが重要なので、施工する業者とよく相談して決めましょう。
2.クリア塗装を行うメリット
クリア塗装を行うことでどんなメリットがあるのかチェックしてみましょう。
2-1.外壁のデザイン性を保てる
近年では外壁デザインにこだわった住宅も多く、意匠を保ちつつ塗装を行いたいというケースが増えています。
クリア塗装は無色透明のため、外壁の色や柄を生かしたまま塗装ができます。外壁を塗りつぶすことなく塗装を行いたい場合は、クリア塗装を行うのがおすすめです。
2-2.外壁にツヤが出る
クリア塗装は外壁に光沢を与えられます。光沢感にも種類があり、ピカピカとした光沢を与える「ツヤ有り」、控えめな光沢の「3分ツヤ有り」、光沢を与えない「ツヤ消し」などがあります。
ツヤの種類は塗料によって異なるため、外壁用の塗料を選ぶ際は機能性とあわせて光沢感もしっかりとチェックしましょう。
2-3.外壁を保護する
塗料は外観を良くするだけでなく、外壁材の耐久性を高めたり劣化を起きにくくしたりする役割があります。同じクリア塗料でも製品によって機能性に違いがあるので、住宅環境に合わせて選びましょう。
3.クリア塗装を行うデメリット
クリア塗装を行う前に、デメリットもしっかりと把握しておくことが大切です。
3-1.シーリングした部分にはNG
サイディングボードなどのパネル状の外壁材を取り付ける場合、目地にシーリング材(コーキング材)を注入して雨水の侵入や劣化を防ぎます。このシーリングを施した部分には、基本的にクリア塗装はできません。
シーリング部分にクリア塗装をしてしまうと、塗膜の汚染や剥がれ、割れが起こることがあるため、塗装工事の際はシーリング部分をマスキングテープで覆うなどして塗料がつかないようにする必要があります。
3-2.補修跡が目立つ場合がある
クリア塗装は透明なため、外壁自体に汚れやひび割れなどの劣化、補修跡があると、そのまま見えてしまうデメリットがあります。
色のついた塗料を塗ってしまえば汚れや補修跡を隠せるため、通常の塗料で塗ってからクリア塗装をするという方法もあります。しかし、クリア塗装だけを行うなら、綺麗な状態が保てている外壁こそ適しているでしょう。
劣化状態がそれほどひどくなければ施工できる可能性もあるので、まずは外壁の状態を業者に診断してもらうのがおすすめです。
3-3.向いていない外壁に塗ると剥がれの原因になる
クリア塗装は意匠性の高いサイディングボードに向いていますが、光触媒や撥水処理、無機の表面コーティングが施されているものには使用できません。
表面コーティングがされているとクリア塗料がつきにくくなるため、剥がれの原因になります。耐用年数も短くなるといわれているので、既存の外壁の状態を確認してからクリア塗装を行いましょう。