1 樹脂系サイディングの特徴とは
「樹脂系サイディング(Vinyl Siding)」は、プラスチックの仲間である「塩化ビニル樹脂」を主原料としている外壁材です。
耐久性が高く凍害などにも強いことから、特に北米では50年以上も前から普及しておりシェア率は約50%を占めています。
2 樹脂系サイディングは対応できる施工業者が限られる!
北米では主流とされる一方、日本国内では樹脂系サイディングは取り扱いメーカーが少なく、施工できる業者も限られています。
そのため、実績のあるリフォーム会社を探すのに手間取ることがあるかもしれません。
樹脂系サイディングの国内シェア率は1%程度
ちなみに樹脂系サイディングは、日本でのシェア率はわずか1%程度と、かなり低いのが現状です。
もちろん今後普及していく可能性はありますが、多くの消費者の方にとってまだまだ認知されていない素材だと言えるでしょう。
3 樹脂系サイディングのメリット
凍害・塩害に強い
樹脂系サイディングは、凍結してひび割れるようなことがほぼありません。
北海道や東北で採用されることが多いのは、特にこの点が大きなメリットになっているからだと言えるでしょう。
錆びや腐食の不安がほとんどなく、海沿いの地域でも塩害に強いという魅力もあります。
約30年、メンテナンスがほぼ不要
樹脂系サイディングは素材自体に色(顔料)を練り込んであるので、色あせることがなく、再塗装が不要です。
30年のメーカー保証付きの製品も多くあります。
(※ただし樹脂系サイディングは紫外線によって弾性が失われていくため、紫外線から保護するための塗装が必要となる可能性はあります。)
また素材同士を重ね合わせる「オープンジョイント工法」で施工するため、シーリング(コーキング)を使用する必要がなく、補修工事も不要です。
一方、窯業サイディングなどの外壁材は、約10年ごとのサイクルで塗装や、目地部分であるシーリングの補修といった手入れが必要になります。
他の外壁材と比べて、樹脂系サイディングはメンテナンスにかかる負担が少ないことがわかりますね。
防水性が高く、雨水も侵入しにくい
樹脂系サイディングは撥水性に優れた素材です。
さらに施工時に採用される「オープンジョイント工法」は、壁の外側と内側の気圧差を少なくすることで、雨水が入りにくい構造になっています。
衝撃にも強く、割れ(クラック)のリスクが少ない
独特な弾力性を持つ樹脂系サイディングは、衝撃にも強いという特徴があります。
強風などで硬い物がぶつかった場合でも「へこみ」や「割れ(クラック)」が発生するリスクが低いです。
軽量で建物にかかる負担を軽減できる
樹脂系サイディングの重量は、窯業系サイディングの約1/10と軽量です。
重ね張り(=既存の外壁の上に、新しいサイディング材を施工する)リフォームでも建物への負担が少なく、地震による影響も軽減できます。
汚れを落としやすく手入れが簡単
表面に付着した軽いホコリなどは、雨で簡単に洗い流されます。
また、雨が当たらない箇所に付いた汚れも、水をかければきれいに落とせます。
万が一コケが生えた場合などでも、高圧洗浄機を使ってきれいにすることが可能です。
4 樹脂系サイディングのデメリット
色やデザインの選択肢が少ない
他のサイディングに比べると、樹脂系サイディングは色やデザインにあまりバリエーションがありません。
ただ、中にはナチュラルな木目を再現した物もあるので、木目調の外壁にしたい方には適していると言えるでしょう。
一方、窯業系や金属系のサイディング材であれば、木目調を含め多様なパターンがあります。
見た目も重視したい方は、なおのこと他のサイディング材を検討したほうがよいかもしれませんね。
防火性能に不安がある?
「ビニールは火や熱に弱い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には塩化ビニルは燃えにくい素材です。
直接、火に接していなければ、自然に消火する性質も持っています。
また、現在扱われている製品は防火構造認定取得済みの物がほとんどです。
ただし準防火地域などで採用する場合は、外壁構造が政令で求められる防火基準を満たす必要があります。
心配な場合は、実績のある施工業者に確認してみるとよいでしょう。
台風など強風の影響を受けやすい?
「軽量だと強風で剥がれてしまうのでは?」という不安も考えられますが、樹脂系サイディングの中には風対策用に特殊な形状に加工された製品があります。
さらに専用のウィンドロックで下地材にしっかり固定する工法もあり、業者によってはこの施工方法を採用してくれるところもありますよ。