タイル張りの外壁は、高級品ですが耐久性に非常に優れています。
ですが、外壁にタイルを使っている家はサイディングやモルタルの家に比べて少ないため、あまり性能が知られていません。
1 外壁タイルってどんな外壁材?
タイルとは?
そもそもタイルとは、土や石を高温で焼き固めたものです。
タイルは、浴室の床などにも使用されることからも分かる通り、タイルは傷や水気、温度変化に非常に強い素材です。
外壁にタイルを使用した場合も、耐用年数が非常に長く、汚れにくく、メンテナンスの手間も少ない外壁になります。
外壁タイルにはどんな種類がある?
タイルの種類には、大きく分けて「磁器質タイル」「せっき質タイル」「陶器質タイル」の3種類があります。
このうち、もっとも外壁に向いているには「磁器質タイル」です。
①磁器質タイル
磁器質タイルは、1300℃近い高温で焼成したタイルです。
非常に硬い素材で、水をほどんと吸収しないので、外壁タイルとしてはもっとも耐久性・耐水性が高い種類になります。
②せっき質タイル
せっき質タイルは、1200℃前後で焼成したタイルで、磁器質と陶器質の中間の硬さ・耐水性をもちます。
磁器質タイルより硬くないぶん加工しやすく、いろいろなデザインがあるのが特徴です。
磁器質タイルの次に外壁材に向いています。
③陶器質タイル
陶器室タイルは、1000℃をこえる程度の温度で焼成されたタイルです。
磁器質タイルやせっき質タイルに比べると吸水性が高く、外壁よりも内装に多く使われます。 焼き物と同じように、焼成前に釉薬(ゆうやく)を塗られたものと、釉薬を塗らず素焼きされたものの2種類があります。
2 外壁タイルのメリット
外壁材としてのタイルのメリットは、耐久性が高くメンテナンスが少なくて済むことです。
メリットのもととなる性能を個別に解説すると、以下のようになります。
メリット①傷に強い
土と石を1300℃近い高温で焼成したタイルは、非常に硬い外壁材です。
そのため、外壁に砂やごみが風で吹き付けてもほとんど傷がつきません。
また、吸水性もほとんどないため、凍害(素材の水分が凍ったり溶けたりを繰り返してできる傷や亀裂)もほとんど起こりません。
メリット②汚れに強い
外壁タイルには、雨水を利用して表面の汚れを落とすセルフクリーニング機能があります。
このため、手間なくきれいな状態を保つことができます。
メリット③紫外線に強い
外壁タイルは無機質でできているため、太陽の紫外線を浴びても劣化を起こしません。
メリット④メンテナンス頻度が少ない
外壁タイルの耐用年数は、ほぼ半永久的と言われています。
そのため、事故や災害で壊れたりしない限りは、タイル自体をメンテナンスする必要はありません。
メリット⑤メンテナンス費用が安い
外壁タイル自体はほとんど経年劣化しないので、メンテナンスは表面の洗浄や目地の補修など、ごく軽微な作業が中心です。
そのため、メンテナンスのたびにかかる費用も他の外壁材に比べて少なく、維持費用が安く済みます。
メリット⑥高級感がある
人によって好みに差はありますが、一般的にタイルの外壁は重厚で高級な印象を与えます。
また、近年はレンガのような外見の外壁タイル以外にも、さまざまなデザインの製品が登場しており、選択肢も広がっています。
3 外壁タイルのデメリット
デメリット①初期費用が高い
外壁タイルの価格は、サイディングやモルタルの外壁に比べて2~3倍ほど高価です。
あまり長く住む予定のない家に使うのは、費用的に無駄が多い外壁材と言えるでしょう。
デメリット②目地が劣化する
タイル自体は非常に頑丈な素材ですが、タイル同士の隙間を埋めている目地はどうしても劣化します。
そのため、外壁全体がメンテナンスフリーではありません。
デメリット③耐震性が低い
タイルは、他の外壁材に比べて重い素材です。
外壁に重量があると、そのぶん建物の構造体に負担がかかり、万一の地震のときにも壊れやすい家になってしまいます。
ですが、外壁タイルの使用を前提に設計した家ならば、問題はありません。
デメリット④施工に技術が必要
外壁タイルの施工は、サイディングなどに比べて施工する職人の技術を必要とします。
施工不良があると、タイルの高い耐久性も発揮できなくなってしまうので、施工にあたりタイルの扱いに熟練した業者を見つける必要があります。