スレート屋根(コロニアル、カラーベスト)は、いったいどのような屋根なのでしょうか?
1 スレート屋根ってどんな屋根?
もっとも普及率が高い、薄いセメント板の屋根材
スレートとは、セメントを薄い板に加工した屋根材です。
1枚あたりタタミ1畳ほどの大きさで、住宅の屋根には敷き詰めたあと釘や接着剤で固定されて使われます。
スレート屋根は、日本の住宅の屋根材としてはもっとも普及しており、修理やリフォーム工事に対応している業者も数多くいます。
「コロニアル」「カラーベスト」もスレートと同じもの
業者によっては、スレート屋根を「カラーベスト」「コロニアル」と呼ぶこともあります。
これはスレート屋根の商品名が、一般名称として定着したもので、全く同じものと考えて大丈夫です。
スレート屋根の見分け方
ご自宅の屋根がスレート屋根であるかを確かめるには、
- 平らな板が張り合わされた屋根
- 金属製ではない屋根
であれば、スレート屋根でほぼ間違いないでしょう。
反対に色数は豊富なため、外見上の色でスレート屋根かどうかを判断することはできません。
2 スレート屋根のメリット・デメリット
スレートは、他の屋根材と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
他の代表的な屋根材である「金属(ガルバリウム鋼板)」と「和瓦(陶器瓦)」を合わせた3種類で比較を行いました。
・スレート屋根のメリット
価格が安い
スレート屋根の最大のメリットは、屋根材の価格・メンテナンス費用ともに安価なことです。
そのため、新築時やリフォーム時の費用が安いのがメリットです。
色やデザインが豊富
スレート屋根は、黒・茶・グレーなどの定番色から、ブルーやグリーンなど様々なカラーリングの製品が販売されています。
スレート板の形状や質感も数多くの種類があり、デザインの選択肢が豊富な屋根材といえます。
軽い・耐震性が高い
金属屋根材には一歩劣りますが、スレートは重量が軽い部類の屋根材です。
軽いことで、建物にかかる負担を小さくし、地震で建物が揺れた場合に傷ついたり、倒壊してしまったりする可能性を下げることができます。
・スレート屋根のデメリット
割れやすい・耐久性が低い
化粧スレートは薄いセメントの板なので、荷重や強風によってヒビが入ることが多くあります。
そのため、他の屋根材に比べて割れやすい素材と言えます。
スレート屋根の雨漏りを防ぎ、家を長持ちさせるためには、ヒビ補修等のメンテナンスをしながら住み続ける必要があります。
メンテナンス頻度が多い
割れやすいスレート屋根の家に安心して住み続けるためには、異常がなくても5年を目安に点検・補修を受けることをオススメします。
他の屋根材に比べて、屋根業者を呼ぶ機会がどうしても多くなるため、負担に感じる方もいるでしょう。
3 スレート屋根に必要な3つのメンテナンス・修理とは?
スレート屋根の修理・メンテナンスと実施時期は、「屋根のヒビ割れの点検・補修」を5年おきに、「屋根棟の交換」を15年目に、「屋根の葺き替え」を30年目に、それぞれ行うのがオススメです。
スレート屋根の家に安心して住み続けながら、維持費用も最低限にするには、基本的にこの3つの修理だけ行えばよいと考えています。
新築から5年おきに「ヒビ割れの点検・補修」
実はほとんどのスレートには、新築の時点からごく細かいヒビが入っています。
スレートは割れやすいため、注意をして工事をしても、打ち付ける時や工事で上を歩くときにどうしても微細なキズが入ってしまうのです。
そのごく細かいキズが、日光や風雨にさらされるうちに広がってくるのが、おおよそ5年目となります。
なのでスレートでは、このタイミングで業者によるヒビ割れの点検・補修を受けて、雨漏りや屋根の剥がれなどを未然に防ぐのがオススメです。
修理内容は、ヒビが入っている部分の裏側に接着剤を注入する作業となります。
5年目時点では目立たなかったキズや、作業時にできた新たなヒビ割れがある可能性もあるため、以降も5年おきに同様の点検・補修を受け続けるのが理想です。
築15年目に「棟の交換」
棟(むね)とは、屋根の頂上にある板金でできたの蓋のことです。
屋根の棟は、年数が経つうちに固定に使われているクギが弱くなり、台風の際に外れて飛んでしまうリスクが高まります。 そのため、予防のため築15年を目安に棟の交換を行うと安心です。
修理内容は、既存の棟板金とその下地の木材を取り外して、新しいものに交換する作業となります。
築30年目に「葺き替え」
スレート屋根は、築30年を過ぎる頃には耐久年数を終えます。このタイミングで、屋根の全交換工事である「葺き替え」(ふきかえ)が必要になります。
葺き替えの作業内容は、古いスレートを撤去し、下地の木材の補強や張り替えをしたあと、新しい防水シート(ルーフィング)と屋根材を張る工事となります。
新しい屋根がすぐに吹き飛んではいけないので、葺き替え時には下地の木材の補強を必ずおこなってください。金額は屋根の広さや、新しい屋根に選ぶ素材で大きく変わります。
葺き替えの時には、スレートから別の屋根材に変えることもできます。