大事な住宅を雨漏りから守る一つの手段として使われることもある防水塗料(防水性能の高い塗料を指します)。ベランダや屋上などは雨漏りリスクが高いので、塗装に防水材が使用されるのが一般的です。しかし、実は外壁から雨漏りが発生する可能性もあります。
外壁からの雨漏りは、外壁塗装が剥がれるだけでは起こりません。また、外壁材が劣化することによって引き起こされることもありますが、どこに問題があるかわからないケースもあります。
そのため、雨漏りが発生している場合は、ハウスメーカーに相談して構造検査を行い、詳細な原因を特定した上で外壁材を修理する必要があります。
少しでも雨漏りのリスクから住宅を守るために、防水性能の高い塗料で定期的に外壁の塗り替え工事を行うのがおすすめです。
1.雨水の浸入を防ぐ「防水性能が高い塗料」とは?
雨水の侵入を防ぎ、外壁材の劣化を予防する防水性能の高い塗料。まずは、防水性能の高い塗料にはどのような特徴があるのかチェックしてみましょう。メリット・デメリットについても解説していきます。
1-1.防水性能の高い塗料の特徴
防水性能の高い塗料は「弾性塗料」と呼ばれる塗料のことを指します。耐久性や耐候性、美観性など目的に合わせた塗料の種類が多く揃っていますが、防水性能の高い塗料は防水機能に優れているのが特徴です。
1-2.防水性能の高い塗料のメリット・デメリット
【メリット】
通常の塗料は外壁材にひび割れが起きた際に塗膜も一緒に割れてしまい、そのひび割れ部分から住宅内部に雨水が侵入する場合があります。雨水が侵入すると構造材が劣化して、建物全体に悪影響を与えてしまいます。
しかし、防水性能の高い塗料の塗膜は伸縮性があるので、外壁材にひび割れが起きた際にも塗膜が割れるリスクを少なくできます。雨水の侵入を防いで外壁材を長く保護する点を重視するなら、防水性能の高い塗料で塗装を行うのが最適です。
【デメリット】
防水性能の高い塗料は一般塗料よりも伸縮性があり、保護性能は長持ちするのがメリットです。しかし、大きなひび割れには対応できないケースもあり、経年劣化によって伸縮性は失われるので、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。
さらに、防水性能の高い塗料の施工方法には、「単層弾性仕上げ」「複層弾性仕上げ」などがあり、それぞれ単層弾性塗材、複層弾性塗材と分かれているため、使用する塗料の種類を正しく選択する必要があります。
2.防水性能の高い塗料の種類(水性系塗料・油性系塗料)
防水性能の高い塗料には、水性系塗料と油性系塗料の2種類があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
【水性系塗料】
水性塗料は水を溶剤として使用している塗料のことです。臭いが少なく乾燥も早いのが特徴で、価格も安いものが揃っています。油性系塗料の方が性能が優れていましたが、近年では水性系塗料も性能が良くなっています。
【油性系塗料】
油性系塗料はペイント薄め液などを溶剤に使用している塗料のことです。施工の際に主剤と硬化剤を混ぜる2液タイプが主流で、耐久性・密着性に優れています。注意点として、臭いが強く乾燥時間が長いため、屋内での使用にはあまり適していません。
水性系塗料・油性系塗料のどちらを使用するかは、外壁材や下地の種類、住宅環境などを考慮することが大切です。施工する専門業者と相談して適切な塗料を選びましょう。
3.防水塗料(防水材)は屋上やベランダに使用されることが多い
屋上やベランダは雨風にさらされている場所で劣化しやすく、屋根のように傾斜がないことから水がたまりやすい特徴があります。そのため、きちんと雨水から建物を保護するために防水塗装を行うのが一般的です。
・基本的な塗装工程※コンクリート床の場合
高圧洗浄機やブラシなどで汚れや劣化塗膜を取り除く
ひび割れや端部分にシーリング用プライマーを塗装して、ウレタンシーリング材を充填する
防水塗料(防水材)用シーラー(下塗り材)で下塗りを行う
防水塗料(防水材)を正しい施工方法で塗っていき、最後に滑り止め材を塗装すれば完了
4.防水性能の高い塗料で外壁を雨漏りから防ぐ
ベランダや屋上だけでなく、外壁も雨風の影響で劣化しやすい場所です。雨漏りから守るために、外壁に起きやすい症状や防水性能の高い塗料に適している外壁材を確認しておきましょう。
4-1.雨漏りを引き起こす外壁の症状
外壁に起こる「クラック」と呼ばれる亀裂やひび割れが原因で雨が浸みこむと、外壁材が劣化し、雨漏りが起こる可能性があります。
【クラックの主な種類】
・ヘアークラック
塗膜表面に起きた髪の毛くらいの小さなひび割れです。紫外線などで塗膜が劣化すると起こりますが、外壁塗装から短期間で起きた場合は施工不良の可能性も考えられます。小さなひび割れは塗装の重ね塗りで補修が可能です。
・乾燥クラック
モルタル壁の乾燥収縮によって起こるひび割れです。外壁塗装していると塗膜にもひび割れが発生しやすくなります。ヘアークラックと同じく、1mm以下の小さなひび割れは塗装の重ね塗りで補修できます。
・構造クラック
建物の欠陥や凍害、地震、強風などによって構造内部に起きた深いひび割れです。大きな割れは塗装の塗り直しだけでなく、シーリング材などで補修が必要になります。または、外壁一面の塗装を塗り替えるケースもあります。
ひび割れの発生度合いや種類によって補修方法は異なります。塗装だけでは雨漏りが改善しないケースもあるので、専門業者に外壁調査を依頼して、適切な補修方法を提案してもらいましょう。
4-2.防水性能の高い塗料を使うのに適している外壁材
外壁材にもさまざまな種類があります。防水性能の高い塗料に適している外壁材について解説します。
【モルタル壁】
モルタル壁は水分を含むと乾燥時に収縮してひび割れが起こりやすい性質を持っています。防水性が低いため、防水性能の高い塗料で塗装しておくとひび割れが発生した場合でも雨水の侵入が防げます。
【コンクリート壁】
マンションなどで使用されることの多いコンクリート壁ですが、一般住宅の外壁材としても使用されています。コンクリート壁は防水性が低く、劣化すると表面が剥がれたり、雨水が内部まで侵入して鉄骨をサビさせるケースもあります。劣化を防ぐためには、防水性能の高い塗料で保護するのがおすすめです。
【サイディングに防水性能の高い塗料はNG】
近年使用されることの多い外壁材に窯業系サイディングがあります。サイディングは防火性に優れていて、断熱性も高いのが特徴です。サイディングに防水性能の高い塗料を塗装すると、熱がこもって膨れや剥がれが起こりやすくなるため使用できません。また、サイディングの劣化には防水性能の高い塗料が効果的ではないため塗ってもあまり意味がありません。
外壁塗装はそれぞれの外壁材や劣化の状況を正しく判断する必要がありますので、施工実績の多い専門業者に依頼しましょう。